7月20日
葛飾北斎の富岳三十六景、
『神奈川沖浪裏』のオマージュ作品です。
作品上に落款はありませんが、
新免北斎と解説されているHPがあります。
京田辺市沖とありますが、
実際の京田辺市近辺には
海や湖はありません。
富士山の後ろからは
太陽(SUN)の替わりに
覗いています。
しかしながら茄子とサーフィンの関連性は薄く
作者のサーフィン願望と
葛藤がにじみ出た作品と思われます。
■画材/マジックインキ 色鉛筆 コピー用紙
■所蔵/さんさん茶屋「カスタマイズ(梅雨~夏編)」(令和2年)

映画「プラトーン」(1986年)および、
米ロックバンド
(「ロッキー3」(1982年)のテーマ曲)への
オマージュの詰まった作品です。
「個別支援計画書」に見立てた書式に、
プラトーンの代表シーンが描かれています。
曲冒頭のギターリフが
聞こえてきそうな迫真の描写は、
見る人に
を与える作品です。
■画材/マジックインキ クーピー 和紙
■所蔵/かき氷研修(令和2年)

コラージュ作品です。
これは、
「さんさん山城」HP上では、
もうお約束とも化した一場面、
ほ場(畑)にて
「さんさん産鷹の爪」を試食した
視察のみなさんの
叫び出したくなる心象風景を
見事に描き出した一枚と言えます。
「叫び」と言えば
ムンクの作品も思い浮かびますが、
鷹の爪の辛さは
まさに突き抜ける青空。
そこを急降下する
「鷹の爪」型コースター。
上部にはタイトルと
「危険物」を示すドクロマークが
手書き風の白抜きで描かれています。
■画材/ポスターカラー 修正ペン 感熱紙
■所蔵/大阪知的障害者福祉協会 視察(平成30年)
パネル作品です。
「さんさん山城」における
鷹の爪の生産量を
大胆なタッチの帯グラフにしています。
モチーフを用いて帯グラフ化するのは
数学的には正確ではないようですが、
インパクトは十分で、
世界生産量を基軸に
グラフ化しようとしたが、
結局「点」でしか表現できなかった
作者のもどかしくもせつない気持ちが
無造作に引っ張られた黒線ならびに
独白調の文体を通して伝わってきます。
■画材/水性ペン コピー用紙
■所蔵/法務省「第60回全国矯正展」に出展(平成30年)
少しのデジタル加工が加えられた作品です。
表題にあるように
「さんさん山城」の
代表的特産品である、
ブランド野菜
「京都えびいも」
「田辺茄子」
「宇治抹茶」を擬人化し、
土下座させています。
そもそも保存が目的でない
ホワイトボード画を好む新免画伯の
初期の代表作と言われており、
迷いのないタッチで
一気に書き上げられた「お詫び絵」は
三者の大きさが実際と大きく違う事、
お詫びと言いながら
抹茶が茶碗から
盛大にこぼれている事
(中身がこぼれて抹茶自体は大丈夫なのか?)等、
独特のデフォルメと
ユーモアや風刺が効いており、
作者が「山城のバンクシー※」と
称される所以でもあります。
この作者のお気に入りの構図は
その便利さ故か
バリエーションが豊富に存在し、
多くの野菜が何度も健気に
「お詫び」を展開しています。
その後、これらのキャラは
へと進化を遂げることとなります。
■画材/ポスカ ホワイトボードマーカー わら半紙
■所蔵/「New!!!さんさん」(平成30年)
参考作品 バリエーション「土下座するさんさんデュオ」


こちらの小作品は、
もとはホワイトボードに挿絵として
描かれたものです。
遠くへ去る利用者A君への
はなむけの気持ちと、
A君の行く末に
「海の幸、豊富あれ(送ってこい…)」と
願ったものと言われています。
船にはイカリや煙突からは
もうもうと煙が出る
ステレオタイプな船を描くことにより、
小さくても船と認識しやすいように
気配りがされています。
■画材/ホワイトボードマーカー ホワイトボード

珍しく縦長で
茶色の枠がつけられたこの作品は、
画風も一風変わっています。
モチーフは太平洋戦争前の
昭和9年頃。
レトロな街並みに
市電のみカラー付けされた
大胆な構図が目を引きます。
作品左下の人物は「この石」と指さし、
絵の描かれた目的
(京都市電の敷石を寄付されたことの報告)の
説明と作者の嬉しい内心を語っています。
■画材/油性マジック コピー用紙
■所蔵/レアアイテムをゲット!!!(続編)(平成28年)

残すところ、
作品もあと二つになりました。
ここからは人物画をご紹介します。
この作品は皆さんの記憶にも
新しいのではないでしょうか?
出世頭、隆輝富士の、
十両に臨む化粧まわしを着けた
晴れ姿を描いています。
隆輝富士のトレードマーク、
青の補聴器もきっちり描かれています。
バックに罫線が見えるのは、
書かれた場所が事務所の月間
予定表(ホワイトボード)であり、
作者が作品としてではなく、
あくまでもその場で
即興的に書いた証拠といえます。
■画材/ホワイトボードマーカー カレンダーのホワイトボード
■所蔵/「隆輝富士」(番付:東幕下筆頭)(令和2年)

最後の作品は、
隆輝富士の
普段の何気ない一面を描いた
ホワイトボード画です。
近年、作者は隆輝富士を好んで
モデルとして取り上げています。
それは隆輝富士の見せる、
若く力強いエネルギッシュな
魅力を絵に切り取り、
残したい思いからかもしれません。
この作品は他とは違い、
事前に撮影した支度部屋での
スナップを絵にしたものです。
前作の化粧まわしを着けた
晴れ姿とは対照的な、
日常の隆輝富士を
よく捉えていると言えます。
■画材/マジック(水性) ホワイトボード
■所蔵/初出展(未発表作品)
※ 参考 スナップ
利用者の方からも祝辞が届いております。
「個展の開催おめでとうございます。
これで、新免さんが
たとえ、いつ、
職を追われることになっても、
これだけの芸術的才能
(と、卓越したトイレ掃除技術←筆者加筆)が有れば、
利用者として安心です」
毎日元気に営業中。
